本を買うのを止められないとすれば、用済みになった本を処分すればよいではないか、と思う人も少なくないだろうが、これがまた難しいのだ。まず、本を資料として使って原稿を書く人にとっては、ある本が「用済み」になることは滅多にない。一定の分野について継続的に書きつづけようとすれば、同じ本がまたいつ必要になるかもしれないから、自分の専門分野に関する蔵書は増える一方で、減ることはない。必要になったら図書館を利用したり、再購入したりすればいいという考え方もあろうが、それでは執筆の能率がきわめて悪くなるだろう。
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これは小説家や学者のように書くことが本来の仕事である人の場合だけではなく、一定の分野、たとえばミステリーや郷土史や園芸などに持続的な関心を持ちつづけ、それがその人の人生にとって重要な位置を占めている場合にもあてはまることだ。(それに、こういう人はいずれなんらかの形で「書く」ようになるものだ。)また、初版本などの稀観書を集めているコレクターは、読むことよりも物としての書物に執着しているわけだから当然、本を処分することができない。しかし、こういう職業的、あるいはマニア的な蔵書家はいわば本の専門家だから、あまり心配してあげなくても、それぞれに自分なりの解決策を見つけるのではないかと思う。